チェルシー・センディ・シーダーが消し去りたい米軍の過去

 

チェルシー・センディ・シーダー (Chelsea Szendi Schieder) は、ラムザイヤー論文の撤回を要求している歴史家グループの1人である。米国コロンビア大学で日本現代史の博士号を取得している。現在は青山学院大学の准教授である。

 

シーダーは、「The History the Japanese Government Is Trying to Erase」(日本政府が消そうとしている歴史) という記事をザ・ネイション誌に寄稿した (2021年5月26日公開)。日本政府や右翼が第二次世界大戦時の歴史を変えようとしていると主張する記事である。

 

この記事の中でシーダーは、青学の自分の生徒たちが慰安婦について教えられていないことを嘆いてみせる。戦時の国家が何をしたか教えないと、ミソジニー(女性差別)やレイシズム(人種差別)がはびこることになるというのである。

 

では、翻ってアメリカはどうなのか。約10,000人の女性が第二次世界大戦直後の沖縄で米兵にレイプされた。ノルマンジー上陸後のフランスでも数多くの女性が米兵にレイプされた。これらの事実はアメリカの高校で教えられているのだろうか。そうは思わない。

 

高校生どころか、コロンビア大学で博士号まで受けたシーダーすらこうした事実には頬かむりをしたままだ。記事の中でシーダーは連合軍の中にあったミソジニーに言及している。しかし、日本軍の「慰安婦」制度の全容の解明が遅れているのは連合軍のミソジニーによるものだとするだけで、米軍を始めとする連合軍が積極的に犯したレイプ等の性犯罪には一切触れていない。

 

日本の「慰安婦」制度を非難するにあたって、シーダーが記事中で触れる内容には説得力が欠けるものも多い。

 

  1.  いわゆるスマラン慰安所事件の犠牲者を一般の「慰安婦」と混同しているか、読者に混同させようとしている。スマラン慰安所事件は軍の命令に背いた明らかな犯罪である。詳細は、こちらに記した。

  2. 慰安婦の数を 5万人から20万人と書いているが、20万人というのは「挺身隊」が基本的に工場勤務に送り出された女性を指す言葉であるのに、それを「慰安婦」と勘違いしたことで出てきた数字である。これは間違いであることが証明されて久しいのだが、シーダーはいまだにこの数字を持ち出している。

  3. 裁判で「慰安婦」関連記事を捏造したと認定された元朝日新聞記者の植村隆を、極端な例を持ち出すことによってハラスメントの純粋な被害者のように描写する。記事を捏造したことには触れられているが、植村に対立する人間の発言として引用されているだけなので、記事の捏造がほんとうに認定されたことなのかどうか読者には分からない仕掛けになっている。

 

シーダーは、こうしたあやふやな「事実」を書き連ね、さらにストローマン論法を駆使することで、戦時の日本軍や現在の日本政府、そしてラムザイヤーを支援する人々を悪魔化しようとする。

 

***   ***   ***   ***   ***

 

第二次世界大戦時の沖縄やノルマンジーで米軍兵士がひどい性犯罪の加害者だったことは既に上に書いた。そのことで、私が Whataboutism (そっちこそどうなんだ論法) を使っていると思われる方もいるかもしれない。だがそれは違う。

 

ノルマンジー上陸後の米軍兵士による現地女性への性犯罪において、強姦犯に占める黒人の割合は非常に高かった。その理由の1つは、米軍上層部が責任逃れのため「レイプは米軍の問題ではなく、黒人の問題だ」というイメージ操作を行う意図があったからだ。

 

1940年代の話だから軍にも被害者の側にも偏見はあった。名ばかりの裁判では、黒人が被告の場合は被害者のフランス人女性の証言が信用されたし、白人が被告の場合は被告の証言の方が信用された。「黒人は性欲が強い」という当時はびこっていたステレオタイプのイメージも利用された。

 

強姦犯は有罪になると、公開で絞首刑になった。処刑の場所は、犯罪が行われた地域。住民の心をなだめるためだ。メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』に記載されたある事例を次に紹介する。

 

憲兵が被害者の前に12人の黒人兵士を並ばせ、ただちに確認するよう迫った。女性がようやく1人の兵士を指さすと、兵士は即刻、彼女の庭で絞首刑に処せられた。「そんなことするなんてひどすきます!」。恐怖におののいた彼女は叫んだ。

 

私は別にアメリカはレイシストの国だと主張したいためにこれを書いているわけではない。70年以上前の話だし、今の基準で過去のことを断罪するつもりもない。しかし、今でもこのような偏見に満ちた、そして自分ではそれに気付いていないかもしれない人間はどこの国にも存在する。米国も例外ではない。

 

たとえば、ザ・ネイションに上記の記事を寄稿したシーダーである。「日本人は残酷だ」というステレオタイプを増幅し、それを利用しつつ、戦時における女性の性被害という普遍的な問題を、日本人の問題だと矮小化し、自国の汚点を覆い隠す。強姦は米軍ではなく黒人の問題だとした米軍首脳部の精神をいまだに受け継いでいるのがシーダーではないのか。異論を唱える人に「ネトウヨ」などとレッテルを貼る彼女こそ、他人に罪をなすりつけることで自国の黒い歴史を消し去ろうとする偏狭な心の持ち主なのではないか。

 

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エイミー・スタンリーのエッセイ『On Contract』の問題点

ラムザイヤー論文の撤回を要求している歴史家グループの1人、エイミー・スタンリーが書いたエッセイ『On Contract』の問題点を指摘したい。

 

このエッセイにおいてスタンリーは、インドネシアで起きたスマラン慰安所事件(注)のような拉致強姦が韓国でも日本軍によって広く行われていたのだと、確たる証拠もあげずに読者に信じ込ませようとしている。

 

注: 1944年2月、南方軍管轄の第16軍幹部候補生隊が、オランダ人女性35人を民間人抑留所からジャワ島のスマランにあった慰安所に強制連行し強制売春させ強姦した事件。戦後、国際軍事裁判所において当該軍人や軍属に有罪が宣告され、数名は死刑に処された。

 

しかし、スマラン慰安所事件の前後の状況をちゃんと見れば、現地女性を拉致して”慰安婦”にする意図が日本の軍部に組織としてはなかったことが逆に明確になるのだ。

 

(1) 吉見義明の『従軍慰安婦』には、軍司令部は慰安所では自由意志のものだけ雇うようにとはっきり注意したという証言が引用されている。吉見は「(問題を起こした)南方軍幹部候補生隊はこの指示を無視した」と書いている。

 

(2) 強制的に連れていかれた女性たちがいた売春宿は約2か月後に突然閉鎖される。被害者の1人で後に手記を発表したヤン・ルフ・オヘルネ (ジャン・ラフ・オハーンとの表記もあり)はその理由を詳しく書いてないが、マルゲリート・ハーマーの『折られた花』には、「強制連行された少女の母親が、日本軍高級将校に通報する機会を得た。その将校はただちに行動を開始し、その結果、各地の抑留所から連行された少女たちのいる売春宿は即刻閉鎖との命令が東京から届いた」という女性側の証言が記載されている(p39)。軍上層部はスマランで起きたことは軍規違反だと明確に認識していたということである。

 

(3) オヘルネが”慰安所”から解放されて一般の収容所に移った後、収容されている女性を強姦しようとした日本兵がいた(未遂)(*下の付録参照)。その兵隊は翌朝の朝礼で上官にピストル自殺を強制された(実際に自殺)。これは、目撃した(させられた)オヘルネが手記に書いている。ここでも軍上層部が規律の維持に躍起になっていたことがわかる。

 

(4) 上の注にも書いたが、スマラン慰安所事件に関与した軍人や軍属は、戦後、国際軍事裁判所において有罪が宣告された。

 

スタンリーの『On Contract』では、上記の1、3、4には触れられていない。2には触れているが、日本側がそれ (軍上層部に報告が届き次第、売春宿は即刻閉鎖されたこと) を主張しているという書き方をしているので、読者にはそれが本当に起きたことかどうかはわからない仕掛けになっている。

 

スタンリーが本当にスマラン慰安所事件のことをよく知らずにこのエッセイを書いたのか、それともわざと不都合な情報を隠して読者に誤解させようとしたのか、それはわからない。しかし、どちらにせよ、学者としては不誠実で無責任な振舞いである。

 

ちなみに、スタンリーがオヘルネの話を持ち出した理由の1つは、白人系の被害者の話をすることで、アメリカの世論が盛り上がることを期待していたからだろう。これには前例があるからだ。

 

朴裕河の『帝国の慰安婦』から韓国Oh My Newsの記事を孫引きする。

 

オヘルン(ヤン)おばあさんが去る2月15日、米下院聴聞会に出て第二次世界大戦当時の惨状を生々しく証言すると、これまでたいした関心を示さなかったアメリカのマスコミが、日本軍慰安婦問題に注目し始めた。(韓国オーマイニュース 2008.07.03)

 

これは2007年米国下院の慰安婦決議案に関してのオヘルネの証言のこと。朴裕河はこれについて、「白人女性が日本軍に売春を強いられたことが、彼ら自身の屈辱的な体験を思い起させたとしても不思議ではない」と指摘している。

 

 

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*付録:  強姦未遂によって裁判もなく自殺させられるというのは確かにひどいことなのだが、当時こうしたことが行われていたのは日本軍だけではないということを示すために、メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』からノルマンジー上陸作戦後のフランスで米軍が行った行為について引用したい。文中の「憲兵」「黒人兵士」は共に米軍の兵士、女性は強姦被害者のフランス人である。

 

憲兵が被害者の前に12人の黒人兵士を並ばせ、ただちに確認するよう迫った。女性がようやく1人の兵士を指さすと、兵士は即刻、彼女の庭で絞首刑に処せられた。「そんなことするなんてひどすきます!」。恐怖におののいた彼女は叫んだ。(p319)

 

 

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Amy Stanley inherits the mindset of the US commanders who portrayed the rape as a black men's problem

Many French women were raped by U.S. soldiers in Normandy after the D-Day. The disproportionately high number of black soldiers were convicted of sexual assault. One of the reasons was that the U.S. military’s leadership tried to evade criticism by portraying the rape as a problem, not of the U.S. military, but of black men.

 

It was 1940’s. Both the U.S. military and victims had prejudice. In a makeshift court, victims’ testimony was considered as reliable when the suspect was black while defendants’ was regarded as reliable when he was white. The stereotyped image that black men had strong libido was widely embraced at that time and used to put the blame on blacks.

 

Convicted rapists were hanged in public in the vicinity of the crime to appease local people’s anger and anxiety. Here is an extract from Mary Louise Roberts’ What Soldiers Do(*). “The military police paraded a dozen black soldiers in front of the accuser, demanding immediate identification. When she finally pointed a finger at one soldier, he was promptly hanged by rope there in her garden. Horrified, the woman screamed, ‘the crime is not worth that!‘.”

 

I am not trying to say that the U.S. is a racist country. It was more than 70 years ago and I won’t judge anybody’s past by the moral standards of 2020’s. However, even now, no country is free from individuals who still have such prejudice and aren’t even aware of it. The U.S. is no exception.

 

How about Amy Stanley, one of those scholars who call for the retraction of the Ramseyer Paper ‘Contracting for Sex in the Pacific War’? In order to counter his paper, she wrote an essay titled ‘On Contract’. In this essay, she described the crime committed by Japanese soldiers in Semarang, Indonesia where they kidnapped local women and forcibly put them in brothels. The criminals were tried by the Dutch after the war, and some were executed. It was a crime against orders, but she tried to convince her readers that it was of the nature of the Japanese military and the same thing happened in Korea without presenting hard evidence.

 

No country is innocent of the sexual abuse of women during war. For example, estimated 10,000 women were raped by U.S. soldiers in Okinawa after the WWII(**). Stanley trivializes the wartime rape as a Japanese problem by leveraging the stereotype that the Japanese are cruel, and papers over her own country’s blemishes. It is Amy Stanly who has inherited from the U.S. commanders in Normandy the mindset that the rape is not the U.S. military’s problem but black men’s.

 

Sources

* Mary Louise Roberts “What Soldiers Do” (toward the end of Chapter 8)

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** 

1, 3 Dead Marines and a Secret of Wartime Okinawa - The New York Times

 

2. A testimony from a woman in Okinawa. “Ano Hoshi no Motoni” (Under That Star) compiled by Soka Gakkai Women Peace Committee 『あの星の下に』創価学会婦人平和委員会編

Another scary thing for us was American soldiers who walked around in our village as if they owned it. Day or night, they took women away on their shoulders to rape. Soldiers didn’t care if women were widows who had nobody to protect them, defenseless girls, old frail women, or married women. Even when we went looking for food during day, we were always afraid of a sign of somebody else’s presence. We slept in attics or under floors so that they couldn’t find us. (…) American soldiers barged into the camp every night and snatched women on their shoulders.

 

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戦場における現地女性のレイプを終わらせようとしないのは誰か?

第二次世界大戦の後、米国兵士が沖縄でレイプした女性の数は 10,000人に及ぶと推定されている (*)。また、フランスのル・アーヴルでも、ノルマンジー上陸の後に多くの現地女性が米兵にレイプされた (**)。ル・アーヴルの市長も沖縄民政府も、地元の女性がレイプされるのを防ぐために売春施設を設立してほしいと米軍司令官に要請した。軍が管理する売春施設はヨーロッパでは一般的であったが、米軍は拒絶した。売春施設の運営に関与することに対する米国民からの道徳的批判を恐れた米軍は、自分たちの体面を保つことを最優先にしたのだ。

 

社会学者の宮台真司は、マグヌス・ヒルシュフェルトの『戦争と性』の邦訳版に寄せた解説文の中で、米軍が売春施設運営への関与を拒んだ理由は2つあるとする。

  • 米国民からの道徳的な批判を回避すること。ピューリタニズムが浸透した米国においては、自分たちの軍が売春施設に関与するという考えに国民は我慢がならなかった。
  • コストを削減すること。

 

宮台は、これらは共に極めてエゴセントリックな動機であると結論付けている。

 

もし、エイミー・スタンリーが主張するように、「志願」と「拉致」の間に大きな違いがなく、売春の管理に軍が関与することが人道に対する罪なのであれば(***)、たとえ現地の首長に売春施設の設置を要請されたとしても、軍は売春施設に関与することを拒み、兵士が現地女性をレイプするにまかせることが軍にとっての最善の解決策となる。そして、それこそ米軍がル・アーヴルと沖縄で行ったことだ。

 

スタンリーは、ル・アーヴルや沖縄での米軍司令官の意思決定を正当化しているだけではない。戦場における現地女性のレイプを終わらせようとしないのもスタンリーなのである。それはおそらく、彼女の定義によれば人道に対する罪にあたるはずなのだが。

 

 

出典:

3 Dead Marines and a Secret of Wartime Okinawa - The New York Times

 

** 『兵士とセックス』(メアリー・ルイーズ・ロバーツ著) の「はじめに」

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***

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訳:

そのとおり。そのスレッドは私が書いた。そして、それが私のエッセイ (注: 『On Contract』) で書いたこと。あのような状況では「志願」にも拉致にも大きな違いはなかった。レイプはレイプ。読み方を習え。

 

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訳:

日本軍が刀を突きつけて処女を誘拐したのだろうが、食堂での仕事を約束して女性を募ったのだろうが、私にとってはどうでもいいこと。たとえ、日本軍が志願者を募ったのだとしてもどうでもいい。女性を戦場に連れて行って輪姦しないこと。以上。

 

これは、人道に対する罪。あとのことはすべて言い訳と取るに足らない言葉の羅列。良心のない人のための馬鹿げたゲーム。

 

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戦地でのレイプの罪を黒人になすりつけた米軍首脳部の精神を今に受け継ぐエイミー・スタンリー教授

第二次世界大戦でノルマンジー上陸後に米軍兵士による現地女性への性犯罪が多発した。強姦犯として処罰された兵士における黒人の割合は非常に高かった。その理由の1つは、米軍上層部が責任逃れのため「レイプは米軍の問題ではなく、黒人の問題だ」というイメージ操作を行う意図があったから。

 

1940年代の話だから軍にも被害者の側にも偏見はあった。名ばかりの裁判では、黒人が被告の場合は被害者のフランス人女性の証言が信用されたし、白人が被告の場合は被告の証言の方が信用された。「黒人は性欲が強い」という当時はびこっていたステレオタイプのイメージも利用された。

 

強姦犯は有罪になると、公開で絞首刑になった。処刑の場所は、犯罪が行われた地域。住民の心をなだめるためだ。メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』に記載されたある事例を次に紹介する。

 

憲兵が被害者の前に12人の黒人兵士を並ばせ、ただちに確認するよう迫った。女性がようやく1人の兵士を指さすと、兵士は即刻、彼女の庭で絞首刑に処せられた。「そんなことするなんてひどすきます!」。恐怖におののいた彼女は叫んだ。

 

私は別にアメリカはレイシストの国だと主張したいためにこれを書いているわけではない。70年以上前の話だし、今の基準で過去のことを断罪するつもりもない。しかし、今でもこのような偏見に満ちた、そして自分ではそれに気付いていないかもしれない人間はどこの国にも存在する。米国も例外ではない。

 

例えば、ラムザイヤー論文に反論しているグループの1人で、「On Contract」という記事を書いたエイミー・スタンリーはどうか? この記事はインドネシアで日本軍兵士が女性を拉致して”慰安婦”にした事件をとりあげ、同じことが韓国でも起きたのだと、確たる証拠もなく読者に思い込ませようとする文章だ。

 

「日本人は残酷だ」というステレオタイプを利用し、戦時における女性の性被害という普遍的な問題を、日本人の問題だと矮小化することで、自国の汚点を覆い隠す。強姦は米軍ではなく黒人の問題だとした米軍首脳部の精神を引き継ぐのはスタンリーなのではないか?

 

参考資料

1, 第二次世界大戦後の沖縄で米兵に強姦された現地女性の数は推定10000人とする学者の証言を引用するNYタイムズの記事。

3 Dead Marines and a Secret of Wartime Okinawa - The New York Times

 

2. ある沖縄女性の証言。『あの星の下に』創価学会夫人平和委員会編 (朴裕河『帝国の慰安婦』から孫引き P287)

私達にとってもう一つ恐ろしかったものは、私達の村をわが物顔で歩く米兵たちでした。守ってくれる人の誰もいない未亡人や、か弱き女子、老いたひ弱な女、人妻の誰かれなく、昼夜の別なく肩に担いで連れ去り、暴行するのです。昼間食べ物を探しに行くにも、いつも人影におびえていました。夜は天井裏や床下に隠れて寝ました。(中略) 収容所には必ず毎夜、米兵がドカドカ上がって来て、女たちをかついで出ていきました。

 

3. メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』から本文中で引用した箇所は P319 に記載されている。

 

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Who perpetuates the practice of raping local women during war?

US soldiers raped estimated 10,000 women in Okinawa after WWII(*). Many women were also raped by US soldiers in Le Havre, France after the D-day(**). The mayor of Le Havre and the governor of Okinawa both asked the US commanders to set up brothels to prevent local women from being raped. The US refused, basically saying it was something to be ashamed of, although military-controlled brothels were common in European countries. 

 

Sociologist Shinji Miyadai argues in his preface for the Japanese translation of Magnus Hirschfeld’s “The Sexual History of the World War” that there were 2 reasons for the US military’s decision not to be involved in running brothels.

  • To avoid moral criticism from the US public. The Puritanism permeated in the US society, and the people couldn’t stand the idea of their military involved in running brothels.
  • To cut cost.

Miyadai concludes that they are both extremely egocentric motives.

 

If, as Amy Stanley insists, there isn’t a huge difference between “volunteering” and ”kidnapping” and it is a crime against humanity for the military to be involved in the management of prostitution(***), then, the best solution would be to refuse their involvement in prostitution facilities, even though setting up such facilities is requested by local governors, and to leave soldiers raping local women. This is what the U.S. military did in Le Havre and Okinawa.  

 

Stanley not only justifies the US commanders’ decision in Le Havre and Okinawa, but also perpetuates the rape of local women that is probably considered as crimes against humanity by her definition.

 

3 Dead Marines and a Secret of Wartime Okinawa - The New York Times

* * "What soldiers Do" Mary Louise Roberts

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* * *

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アメリカの日本近現代史の先生たちはなぜラムザイヤー論文にあれほど強い拒絶反応を示すのか?

 

 

マグヌス・ヒルシュフェルトの『戦争と性』を読んでいるのだが、宮台真司の解説が付いていて、その中になぜアメリカの日本近現代史の先生たちがラムザイヤー論文にあれほど強い拒絶反応を示すのかを理解するためのヒントとなるようなことが書いてあった。

 

ヒルシュフェルト(1868-1935)はドイツの医師・性科学者。『戦争と性』は、第一次世界大戦時の欧州における性愛関連の振舞いについて詳細につづった本である。

 

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宮台「ドイツが第一次世界大戦で採った国家による管理売春は、兵站としての性の提供であり、性病と暴力の管理を目的としました。この図式は第二次大戦期やその後にかけて広がりを見せましたが、米国だけはこれを採用しませんでした」。理由はピューリタニズムとコストの削減。

 

日本は米国に占領されたので、第二次大戦直後は例外的に米国の枠組みを受け入れた。そのしわよせを深刻に被ったのが沖縄。沖縄の女性が多数、米兵士による性暴力に遭い、死んだので、沖縄民政府は米国に慰安所の公設(すなわち暴力の管理)を要求したが、米軍は断固拒否。

 

仕方がないので沖縄民政府は保健所を通して業者による管理売春を利用して性病を管理しようとした。女性達をできるかぎり業者に所属させ、性病について啓蒙し、コンドームを配るなど、沖縄民政府が多大な負担を負い、米軍はそれにタダノリした。ベトナムでも図式は同じ。

 

宮台は言う。「(米軍は)コストを削減し、税金で売春宿を公設することへのピューリタン的批判をかわしたのです。極めてエゴセントリックな動機です」。 アメリカの先生方の「戦場における性サービスの提供」に対する強い拒否反応は、宮台さんのこの解説を読むと腑に落ちる。

 

たとえば、ラムザイヤー論文に対して反論を書いた学者の1人、エイミー・スタンレー (米国ノースウェスタン大学歴史学教授) は次のようなツイートを投稿している。

 

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https://twitter.com/astanley711/status/1390064862110302208

日本軍が刀を突きつけて処女を誘拐したのであろうが、食堂での仕事を約束して女性を募集したのであろうが私の知ったことではない。たとえ、日本軍が志願者を募ったのであろうと知ったことではない。女性を戦場につれていって集団強姦したりしないこと。以上。

 

これに続くツイートでスタンレーは、「これは人道に対する罪である (That is a crime against humanity.)」 とも述べている。すなわち、彼女にとって、軍隊と売春が関与するものはすべて、働く女性が誘拐されたのであろうが、自発的に応募したのであろうが、人道に対する罪なのである。この罪を免れる方法は何か。米軍が採ったように、軍が売春に関与しないこと。すなわち、暴力の管理を放棄することである。宮台も言うように、これは極めてエゴセントリックな動機といえる。

 

ヒルシュフェルトは「経済的理由で売春を余儀なくされた女性たちを不憫だと述べ、戦時の国家が(中略)女性の自由意志を利用していた」ことを記すが、「暴力的な強制や人身売買を防ぐために国家による管理買収が有効」だとする。だが、次のツイートに見られるように、こうした言葉はスタンレーにとっては馬の耳に念仏である。

 

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https://twitter.com/astanley711/status/1387728592386265090

日本のナショナリストが "慰安所" の設置が民間女性のレイプを「防いだ」と主張することほど皮肉なことはない。(レイプを「防いだ」という代わりに、レイプを)「促進した」と言ったほうがいいのではないか。

 

パク・ユハ(朴裕河)の『帝国の慰安婦』には、『あの星の下に』(1981年)という本から、戦後上陸したアメリカ軍の性暴力に関するある女性の証言が引用されている。

 

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私たちにとってもう一つ恐ろしかったものは、私たちの村を我が物顔で歩く米兵たちでした。守ってくれる人の誰もいない未亡人や、か弱き女子、老いたひ弱な女、人妻の誰彼なく、昼夜の別無く肩にかついで連れ去り、暴行するのです。昼間食べ物を探しに行くにも、いつも人影におびえていました。夜は天井裏や床下に隠れて寝ました。(中略)収容所には毎夜、米兵がドカドカ上がって来て、女たちをかついで出ていきました。

 

NYタイムズの記事によれば、ある学者は戦後すぐの時期に沖縄で米軍兵士に強姦された女性の数は10,000人にも上るという。

 

www.nytimes.com

 

 

ドイツ軍慰安所についてはこちらのまとめが詳しい。

togetter.com

 

 

余談。2013年に橋下徹大阪市長(当時)が米軍司令官に性風俗活用を求めた件について宮台は、「目の付け所はいいものの、前述した理由で独英仏に要求できることを米国には要求できないという歴史的経緯に無知だったので、空振りしました」とばっさり。

 

 6月30日追記: 論旨を明確にするために若干加筆しました。加筆前のテキストはこちらです→

https://megalodon.jp/2021-0630-0743-48/https://tarafuku10working.hatenablog.com:443/entry/2021/06/27/212950

 

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