1 年近く前 (2018年10月) の話だが、アメリカのアトランティック誌に「Americans Strongly Dislike PC Culture」(アメリカ人は強く PC文化 を嫌っている) という記事が掲載されていたので要約して紹介したい。記事の筆者は政治学者の Yascha Mounk。
学識者による全国的な調査の結果、米国でも圧倒的多数の人がポリティカル・コレクトネス(PC)文化を嫌っていることがわかった。回答者の80%が「PC文化は我が国(米国)における問題の1つである」と考えている。PCを支持する割合が多いと考えられがちな20代ですら約3/4がそう思っている。
「PCを支持するのは黒人が多い」という認識は間違いではないが、他民族との差は思ったほど大きくない。PCに反対する人の人種別割合: 黒人(75%)、白人(79%)、アジア系(82%)、ヒスパニック系(87%)、アメリカ先住民(88%)。
PC支持者に高所得者・高学歴者が多いのは本当。この調査では、回答の傾向によってアメリカ人を7つの層に分類しているのだが、最も左側である進歩的活動家の層 (全体の7%) は金持ちで教育程度が高く、白人である可能性が高い(進歩的活動家に黒人が占めるのはたった3%)。記事はこう書く。「強硬な保守主義者という小規模の陣営を除けば、進歩的活動家は米国で最も人種的に同質性の高いグループである」
ジョーダン・ピーターソンもこの記事に言及している。
ピーターソン: PCを支持する可能性が最も高いのは所得と教育程度の高い白人。ということは、まさに「専制的家父長制」の上の層を占める人々が、この教義 (訳注: PC) の犠牲者ナラティブの特徴 (訳注: PC文化では自分が犠牲者/被抑圧者であるというストーリーを作ることによって、相手の言動をコントロールする) を有色人種 (この用語を使うのは好まないが) に押しつけていると言えるかもしれない。
ちなみに、アトランティック誌は1857年創刊の老舗雑誌で、別に右寄りというわけではない。2016年の大統領選挙ではヒラリーを支持し、現在も反トランプ色が強い。
日本では、アメリカを良く知るとされる論客 (町山智弘氏など) が太鼓を叩いてアメリカの PC 文化を称揚していたので、これほどまでの PC 文化を嫌うアメリカ人が多いことに驚いた方も多いのではないか。
2019/12/26追記
記事の全文を訳しました。
tarafuku10working.hatenablog.com