戦地でのレイプの罪を黒人になすりつけた米軍首脳部の精神を今に受け継ぐエイミー・スタンリー教授

第二次世界大戦でノルマンジー上陸後に米軍兵士による現地女性への性犯罪が多発した。強姦犯として処罰された兵士における黒人の割合は非常に高かった。その理由の1つは、米軍上層部が責任逃れのため「レイプは米軍の問題ではなく、黒人の問題だ」というイメージ操作を行う意図があったから。

 

1940年代の話だから軍にも被害者の側にも偏見はあった。名ばかりの裁判では、黒人が被告の場合は被害者のフランス人女性の証言が信用されたし、白人が被告の場合は被告の証言の方が信用された。「黒人は性欲が強い」という当時はびこっていたステレオタイプのイメージも利用された。

 

強姦犯は有罪になると、公開で絞首刑になった。処刑の場所は、犯罪が行われた地域。住民の心をなだめるためだ。メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』に記載されたある事例を次に紹介する。

 

憲兵が被害者の前に12人の黒人兵士を並ばせ、ただちに確認するよう迫った。女性がようやく1人の兵士を指さすと、兵士は即刻、彼女の庭で絞首刑に処せられた。「そんなことするなんてひどすきます!」。恐怖におののいた彼女は叫んだ。

 

私は別にアメリカはレイシストの国だと主張したいためにこれを書いているわけではない。70年以上前の話だし、今の基準で過去のことを断罪するつもりもない。しかし、今でもこのような偏見に満ちた、そして自分ではそれに気付いていないかもしれない人間はどこの国にも存在する。米国も例外ではない。

 

例えば、ラムザイヤー論文に反論しているグループの1人で、「On Contract」という記事を書いたエイミー・スタンリーはどうか? この記事はインドネシアで日本軍兵士が女性を拉致して”慰安婦”にした事件をとりあげ、同じことが韓国でも起きたのだと、確たる証拠もなく読者に思い込ませようとする文章だ。

 

「日本人は残酷だ」というステレオタイプを利用し、戦時における女性の性被害という普遍的な問題を、日本人の問題だと矮小化することで、自国の汚点を覆い隠す。強姦は米軍ではなく黒人の問題だとした米軍首脳部の精神を引き継ぐのはスタンリーなのではないか?

 

参考資料

1, 第二次世界大戦後の沖縄で米兵に強姦された現地女性の数は推定10000人とする学者の証言を引用するNYタイムズの記事。

3 Dead Marines and a Secret of Wartime Okinawa - The New York Times

 

2. ある沖縄女性の証言。『あの星の下に』創価学会夫人平和委員会編 (朴裕河『帝国の慰安婦』から孫引き P287)

私達にとってもう一つ恐ろしかったものは、私達の村をわが物顔で歩く米兵たちでした。守ってくれる人の誰もいない未亡人や、か弱き女子、老いたひ弱な女、人妻の誰かれなく、昼夜の別なく肩に担いで連れ去り、暴行するのです。昼間食べ物を探しに行くにも、いつも人影におびえていました。夜は天井裏や床下に隠れて寝ました。(中略) 収容所には必ず毎夜、米兵がドカドカ上がって来て、女たちをかついで出ていきました。

 

3. メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』から本文中で引用した箇所は P319 に記載されている。

 

f:id:tarafuku10working:20210910055421j:plain

 

時事ニュース 人気ブログランキング - ニュースブログ