ムンク・ディベート

ムンク・ディベートは、カナダのトロントで年に2回開催される討論イベントだ。世界最大の産金会社であるバリック・ゴールド社などで巨額の富をなしたカナダ人実業家、ピーター・ムンク (Peter Munk) が妻のメラニーと共に始めたもの。

 

討論のテーマは主に社会的/政治的なもので、ディベーターも毎回豪華な人が登場。

 

たとえば、心理学者のスティーブン・ピンカーが登壇した2015年下半期のお題は「人類の未来は明るいか?」。このときの様子は本として出版されて日本語にも翻訳されている (『人類は絶滅を逃れられるのか』ダイアモンド社)。

 

また、2016年上半期には、UKIP党(当時)のマイケル・ファラージなどを呼んで、移民の推進について討論。討論の前後に聴衆にアンケートを取り、より多くの人の意見を変えさせた方が勝者となるのだが、このときはファラージのいた移民反対(慎重)陣営の方が大差で勝利した。

 

私がムンク・ディベートのことを知ったのは去年の5月のこと。ベストセラーの『12 Rules Of Life』を出版し、キャシー・ニューマンとのインタビューで欧州でも有名になったカナダ人臨床心理学者のジョーダン・ピーターソンが登場したから。議題は「ポリティカル・コレクトネスは進歩である」。Yes派の討論者は米国の黒人人権活動家であるマイケル・エリック・ダイソンとNYタイムズ記者のミシェル・ゴールドバーグ。反対派がピーターソンと英国人俳優・作家のスティーブン・フライ。

 

私はYouTube で見たのだが、白熱した議論で面白かった。アイデンティティ・ポリティクスを振りかざして時に糾弾調になるダイソン、リベラル派ながらPCの権威主義的な側面に懐疑を抱くフライ (ユーモアにあふれ、物腰もやわらかい)、ダイソンの理不尽ともいえる攻撃を蹴散らしながら、冷静さを失わず、知識と論理で信念を貫くピーターソン。見ごたえがあった。(ゴールドバーグは準備不足の感が否めなかった)。このときの討論の結果は、No 派が6%の意見を変えさせて勝利。

 

このときの様子はこちらで見ることができます↓

www.youtube.com

 

2018年下半期の「西洋の政治の未来はリベラルではなくポピュリズムである」もタイムリーなテーマで興味深かった。討論したのはスティーブ・バノンとデイビッド・フラム(ジャーナリスト)で、結果は引き分け。

 

次回のムンク・ディベートは12月4日。テーマは「資本主義はもう終わりか?」。ギリシャの元財務大臣であるヤニス・バルファキスなどが討論に参加する。

 

討論の模様はムンク・ディベートの Web サイトでリアルタイムで見ることができるはず。過去の討論のビデオも会員(無料)になれば視聴することができます。 

Munk Debates - Munk Debates

 

これまでの回のテーマや勝敗については、こちらの Wikipedia ページ (英語) を参照してください。 Munk Debates - Wikipedia

 

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