ダイヤモンドプリンセス号について薄っぺらなレポートをしたBBCのルパート・ウィングフィールド=ヘイズ記者の過去の誤報
ダイヤモンドプリンセス号について扇情的で薄っぺらなレポートをしたBBCのルパート・ウィングフィールド=ヘイズ氏。彼が過去に犯した誤報について書いておきたいと思う。
2017年7月、ウィングフィールド=ヘイズは「Sexless in Japan」(セックスレスな日本の若者たち それはなぜ)という動画レポートを公開した。セックスしない傾向にある日本の若者について、少子化とからめてレポートしたものである。
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このレポートの中で、ウィングフィールド=ヘイズはあからさまなフェイク・ニュースを流している。
彼のレポートによれば、日本人の18~34歳までの43%が一度も性体験をもったことがない。しかし、これは明らかな間違い。
この数字は日本の国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(2015年)を出典としたと思われるが、以下の表(同調査の報告書の24Pに記載)のように「18~34歳までの未婚の日本人の43%が一度も性体験をもったことがない」が正しい情報である。
私はこのエラーについて、Twitterで本人にも指摘したし、BBCジャパンのYouTubeアカウントに直接メッセージも送ったが、返事はない。
この動画は現在もYouTubeで閲覧可能であり、BBCのメインアカウントで135万回、BBCジャパンのアカウントで63000回再生されている。
欧米メディアは日本の性の話題を好んで取り上げるし、特に英国は、リチャード・バートン卿が、性的な描写を誇張、または原典にない性的な描写を追加するなどしてアラビアン・ナイトを創造的に翻訳し、自国民に道徳的優越感を与え、アラブ地域の植民地化に動員した伝統がある国だから、ウィングフィールド=ヘイズも母国の偉大な先輩を見習ったのかもしれない。
それから、これもまた別のセックス関連の話だが、2017年4月、ろくでなし子氏の裁判の判決を受けて、ウィングフィールド=ヘイズは事実に基づかないツイートを投稿している。
この裁判では、わいせつ物(女性器の模型)を陳列したことと、彼女自身の女性器の3Dデータを配布したことで、ろくでなし子が罪に問われていた。判決は、前者については無罪。3Dデータの配布のみが有罪とされた。
ウィングフィールド=ヘイズはこの判決内容が理解できず、わいせつ物陳列も有罪となったと勘違いしたのか、「日本では男性器祭り(かなまら祭りなどを指すと思われる)はOKなのに、女性器祭りは許されない」などと、男女差別の問題として告発調でツイートした。
ちなみに、女性器を祀るお祭りはあるし(たとえば、大縣神社豊年祭)、多産、子孫繁栄、豊穣を願うための女性器をかたどった立体の宗教的シンボルは日本にはいくつもある。
上記の画像はTwitter上に他の方が投稿されていたのを拝借しました。
この件に関しても、ウィングフィールド=ヘイズは自身の投稿が間違いだったことを認めた形跡はなく、これらのツイートは今でも参照できる。
https://twitter.com/wingcommander1/status/852475419131498497
https://twitter.com/wingcommander1/status/852474954545111040
今回のダイヤモンドプリンセス(DP)号の件でも、ウィングフィールド=ヘイズのレポートを二度ほどBBCで見たが、1つは岩田健太郎医師を「ホイッスルブロワー(告発者)」と持ち上げて、彼の証言を検証なく垂れ流したもの。もう1つはDP号から乗客を降ろさないのは東京オリンピックを第一に考えているため、などという根拠のない彼の憶測を中心にまとめたものだった(東京オリンピックを第一に考えるなら、中国からの入国者を真っ先に止めるのではないか?)。
以上のように、ウィングフィールド=ヘイズはジャーナリストを職業とする者としては驚くほどデータ/事実の扱いが雑である。これが、彼自身の問題なのか、BBCの基準なのか私は知らない。