#KARMA Jordan Peterson, oracle to gullible young men, preacher of macho toughness, and hectoring bully to “snowflakes”, is addicted to strong drugs and his brain riddled with “neurological damage”.
ドキュメンタリー映画の『The Rise of Jordan Peterson』の中のワン・シーン。街なかで撮影中に、長髪、バンダナ、革ジャンというカウンター・カルチャー系のステレオタイプのような若者がピーターソンに話しかけてきた。製作陣は、この男はアンティファに違いない、ピーターソンに攻撃を仕掛けてくるぞ、と身構えたのだが、その若者は実はピーターソンの大ファンで、彼の動画に精神的に助けてもらったことについて感謝の言葉を言いにきたのだった、という話。
日本のナショナリズムの中心には、常に天皇制があった。日本最古の文書には、約2700年前に国を造ったとされる初期の天皇たちの神話的な系譜が記されている。おおかたにおいて政治的権力から距離を置いてきた天皇は、日本という国の神聖な導き手として、そして日本人とさまざまな神々とを結ぶ橋渡し役として、長く崇められてきた。三島の不満の1つは、彼の言う “凡庸な相対主義” (訳注: 原典不明、英文は a hell of relativism)が日本に蔓延したことにより、天皇の神聖な側面が失われてしまった、ということだ。最後には “週刊誌的天皇制” しか残らないだろう、と三島は嘆いた。
(注1: National Populismとは、マシュー・グッドウィンの著書『National Populism: The Revolt Against Liberal Democracy』(P. Eatwellとの共著)では、「国民の文化と利益を優先すると共に、冷ややかで腐敗していることも多いエリートに無視され、軽蔑すらされていると感じる人々に声を与える」ムーブメントと定義されている。右派ポピュリズムに近い意味の言葉であると思われる)
警報が鳴ったのは、発売当初から堂々たるベストセラーとなった「生き抜くための12のルール (12 Rules for Life)」をピーターソンが世に出したときだ。なぜなら、左派は本を文化の推進力と認識しているからだ。本の出版を契機として、敵意のある人物紹介記事や論説がたくさん書かれた。しかし、この本をイデオロギー的に攻撃することは難しかった。なぜなら、これは政治性の少ない自己啓発本であり、文学的であると同時に有益で、そしてなにより、商業的に成功しているのだ。こうしたすべてが批評家たちを苛立たせた。「あんなのは単なる常識に過ぎない」。彼らは眉を吊り上げながら口々にそう言った。このこと自体が何かを物語っている。常識に過ぎないものに、なぜそんなに腹を立てるのか?
(注10: ピーターソンが大きな議論を巻き起こしたのは、2016年、彼の住むカナダのオンタリオ州で、「トランスジェンダーの人が望むジェンダー代名詞(he, she など既存のものだけでなく、新しく作ったものも含む)を使わなければ人権侵害になる」という法律の制定に、言論の自由の観点から反対するビデオを公開したとき。注意していただきたいのは、ピーターソンはトランスジェンダーの権利についてどうこう言いたかったわけではなく、人が何を言うかを強制する条項を法律に組み込むことに反対していたのだということ。冒頭で筆者の息子氏が見ているのも、おそらくこれに関するビデオ)
死を目前にした喘鳴が聞こえる中、登場したのがピーターソンを筆頭とする思想家の一群だ。彼らは、世界を理解するための代替手段を提供した。そうしたものに飢えていた非常に多くの人々に対してだ。彼の支持者は数多く、多様性にも富む。だが、かなりの数のファンは白人の男性である。このため、彼らは赤いピルを飲んだ軍団 (注14) なのだと左派は自動的に思い込んでしまう。しかし、真実は逆だ。オルタナ右翼 (注15) は左派と同じくらいの熱心さでアイデンティティ・ポリティクスを崇める。それは、オルタナ右翼の Web サイトである「カウンターカレント」に、「ジョーダン・ピーターソンのアイデンティティ・ポリティクスの拒絶は、白人文化の破壊を許す」という小論文が最近掲載されたことでもわかる。
(注14: Red pilled army – 赤いピルを選べば不愉快な知識と残酷な真実を知ることになるが、青いピルを選べば無知なまま安楽に暮らせる。どちらを選ぶか、という映画『マトリックス』のシーンから。赤いピルを飲む、という言い方は、リベラル左派だった人がリベラル左派批判に転じることを指す場合が多い。筆者は、ここではRed pilled armyを明らかに悪い意味で用いているが、一般的には特に悪い意味を持つわけではない)