大統領選挙の投票が終わり、大手メディアはバイデン氏の当選を宣言しました。トランプ氏は選挙の不正を主張して徹底抗戦の構え。まだまだひと悶着もふた悶着もありそうです。
人種差別主義者、性差別主義者などとメディアにレッテルを貼られ続けたトランプ大統領ですが、2016年と比べて白人男性以外の人種/性別で得票を増やしているというデータが出ています。(Edison 社の出口調査)。
君らがブラック・ライブズ・マターと叫んで店を略奪し街を焼き、黒人同士で殺し合ってる間に、トランプ大統領は全てのマイノリティ男女間での支持率を伸ばしましたw
— Blah 🇺🇸大統領選HQ LetItRock (@yousayblah) 2020年11月8日
この事実は定期的に蒸し返そうと思いますw
大変ありがとうございました🙌🏻 pic.twitter.com/8gPOCjv7E9
また、LGBT コミュニティーからの得票率も倍増とのこと。
Also, the percentage of LGBT voting for Trump doubled from 2016. DOUBLED!!! This is why LGBT people of color don’t really trust the white gays. Yes, I said what I said. Period. pic.twitter.com/4SS4c4z76f
— Charles M. Blow (@CharlesMBlow) 2020年11月4日
こうした傾向の背景についてはもう少し詳しく調査をしなければならないのだと思いますが、興味深い例が1つありましたのでご紹介します。
ノースカロライナ州にロブソン郡 (Robeson County) という郡があります。人口は約13万人。そのうち 42% がネイティブ・アメリカンのラムビー族です。2012年の大統領選挙では、同郡の選挙管区のうち、ラムビー族が多数派を占めているところは、すべてオバマが勝利しました。ところが、今回の選挙では、それらのすべてをトランプが奪ったのです。
ラムビー族が多数派を占める選挙管区の候補者別得票率は以下のとおり。
2012年
オバマ (民主): 59.4%
ロムニー (共和) : 39.2%
2020年
トランプ (共和): 69.1%
バイデン (民主) : 30.1%
Robeson County, NC precincts where Native Americans are a majority of voters:
— J. Miles Coleman (@JMilesColeman) 2020年11月5日
2012
Obama - 59.4%
Romney - 39.2%
2020
Trump - 69.1%
Biden - 30.1%
ものすごい変わりようですね。
ロブソン郡全体 (つまり、ラムビー族が多数派ではない選挙管区も含む) の過去 3 回の勢力図は以下の図のとおり。民主党のシンボルカラーである青が、共和党の赤に塗り替わっていく様子がわかります。
In southeastern NC, Trump's inroads in Robeson County ended up being real. The western part of the county is home to the Lumbee Indian tribe. In 2012, Obama swept every precinct where the Lumbee are a majority of registered voters -- they all went to Trump this week. #ncpol pic.twitter.com/loafDqBvuK
— J. Miles Coleman (@JMilesColeman) 2020年11月5日
トランプ大統領は今年 10月下旬にロブソン郡で政治集会を開いています。そして、その直前に、ラムビー族に連邦政府の承認を与える法案を支援すると宣言しています。
上でツイートを引用させてもらった編集者のJ. マイルズ・コールマン氏の分析。「一般的にラムビー族は社会的に保守的で、2012年には同性婚を事実上禁止することに票を投じた。2016年にはトランプを支持したものの、州の選挙では民主党に投票している。国政レベルの民主党がこうした文化的な問題でリベラル色を強めるなかで、この選挙区が民主党から離れていくのは自然なことではないか」
ここから先はちょっと余談になりますが、この話題を私が知ったのは、クリス・アーナーディ (Chris Arnade) さんという写真家をツイッターでフォローしているからです。
彼は投資銀行に勤めた後、フォトグラファーに転向。全米のマクドナルドを巡り、そこに集う人々の姿をカメラに収めました。つまり、どちらかといえば貧しい人々や忘れ去られた人々のポートレートです。ヒラリー・クリントンが「嘆かわしい人々」と呼んだ人々なのかもしれません。アーナーディ自身はこうした人々を総称して「Back Row America」(後ろの列のアメリカ) と呼んでいます。そして、『Dignity』という写真集にまとめました。
アーナーディはロブソン郡も訪れて人々と話し、写真を撮影しています。残念ながら『Dignity』に収めることはできなかったのですが、そのときの様子を Twitter に投稿しています (スレッドになっています)。
There was also this guy (hugging one of his daughters), who is a member of the tribe & lives in the same lower income projects as the other family. He voted for Trump pic.twitter.com/L75mEQhCTu
— Chris Arnade 🐢 (@Chris_arnade) 2019年11月19日